池袋演芸場で初主任。

大塚が地元ということもあり、1番通った寄席が池袋でした。昼夜の入れ替えもなく1日中いられるので、色々サボってはのべつに入り浸っていました。マイクがないので、演者の声、三味線と太鼓の音が生で伝わってくるのもいい。めったに満席にならない空間で、やる気を隠す演者、聞いているようで聞いていないお客。そこへ迷い込む酔っぱらい。なんとも言えず居心地のいいよく眠れる場所でした。

そんな寄席の空気を変える演者がいることに気が付いたのも池袋。自分を含めぼんやりしている客席を、さりげなくハッとさせる芸の凄さへの憧れは噺家になった今も大きくなり続けています。

池袋という粋で鯔背とは縁遠く欲と哀愁にまみれたこの街に、隠されているこの寄席が大好きです。深夜から明け方以外は。

そんな池袋演芸場で初トリ。たまりません。のんびり見届けていただければ幸いです。寝ないでね。

入船亭扇橋 拝

チラシ_池袋演芸場_7月下席昼の部
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